JRRCマガジンバックナンバー

JRRCマガジン第66号(裁判管轄)

2016年10月26日掲載

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   JRRCマガジン No.66 

山本隆司弁護士の著作権談義
第45回「裁判管轄」

                                   2016/7/27配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

時折聞こえるセミの鳴き声が「梅雨明けはまだか~?」とも聞こえてしまいそう!?ですが、
東京地方なかなか梅雨が明けません。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、リオデジャネイロオリンピック開幕までカウントダウンとなりました。
今回は112年ぶりにゴルフ競技が追加されるとのこと。
逃がせない番組が増え、寝不足の日々となるのでは・・・と思う今日この頃です。

それでは、
山本隆司弁護士の著作権談義
第45回「裁判管轄」
をお送りいたします。


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山本隆司弁護士の著作権談義 
第45回 「裁判管轄」
                               
 最近、立て続けに、私が顧問をしている会社が、著作権侵害に関して米国で裁判を起
こされそうになりました。1件は、日本企業が持つ著作権を、米国企業が米国で侵害した
事件です。その米国企業は、米国で著作権侵害不存在の確認訴訟を起こそうとしました。
もう1件は、米国企業が持つ著作権を、日本企業が日本で侵害した事件です。その米国
企業が米国で侵害訴訟を起こそうとしました。いずれも日本の「法と正義」の観点からは
、米国で訴訟を起こすことはできませんが、米国の裁判所がこれに裁判管轄を認めると
ころに問題があります。米国での訴訟には多額の費用が掛かるので、ビジネス上大きな
リスクを生じます。
 まず、第1の事件ですが、被告の所在地も米国です(被告地管轄)し、侵害地も米国で
す(侵害地管轄)。著作権を保有する日本企業が侵害訴訟を起こす場合に、米国裁判所
に管轄があるというのは当然です。しかし、その米国企業から日本企業に対して著作権
侵害不存在の確認訴訟を起こすなら、被告となる日本企業の所在地である日本で起こす
必要があります。
 ところが、米国法では、日本企業が米国に子会社を持っていれば、裁判管轄において
は、法人格が否認され、その子会社は日本企業の1部門とみなされます。その結果、日
本企業は米国内に住所を持つものとして、米国に裁判管轄(被告地管轄)が認められま
す。残念なことに、この日本企業は、連絡事務所として米国に子会社を持っていました。
そのため、この日本企業は、米国で著作権侵害不存在の確認訴訟を起こされそうにな
りました。
 米国での訴訟遂行には弁護士費用だけで数千万円の費用が見込まれます。これに対
して、損害賠償金として見込めるのは数百万円程度でした。そのため、この日本企業は
、米国で侵害訴訟を起こすことは考えていませんでした。少し金額が下がっても、和解で
解決したいと思っていました。しかし、米国企業が著作権侵害不存在の確認訴訟を米国
で起こせば、いやでも数千万円の弁護士費用を掛けて訴訟遂行せざる得なくなります。
多額の弁護士費用の負担を考えれば、損害賠償請求権を放棄して、相手の訴えを認諾
(敗訴)することが最善の選択となるリスクも覚悟しておくことが必要になります。
 また、第2の事件ですが、被告の所在地も日本です(被告地管轄)し、侵害地も日本で
す(侵害地管轄)。著作権を保有する米国企業が侵害訴訟を起こす場合に、当然、管轄
裁判所は日本の裁判所になります。しかし、その米国企業から日本企業に対して著作権
侵害訴訟を起こすなら、被告となる日本企業の所在地である日本に起こす必要があり
ます。ところが、前述のとおり、米国法では、日本企業が米国に子会社を持っていれば、
米国内に住所を持つものとして、米国に裁判管轄(被告地管轄)が認められます。この
場合も残念なことに、この日本企業は、連絡事務所として米国に子会社を持っていたの
で、米国で著作権侵害訴訟を起こされそうになりました。
 この著作権侵害における損害賠償額は百万円程度ですが、米国で著作権侵害訴訟
が提起された場合の訴訟費用の負担を考えると、日本企業の負担は高額になる危険
があります。
 以上のように、日本企業は、知らず知らずのうちに、米国に子会社を持つことで大きな
リスクを抱え込んでいます。本格的に米国に進出している場合には米国での訴訟も当然
受け止める覚悟を持つべきですが、そうではなく単なる連絡事務所のような場合には、
以上のようなリスクを織り込んだ上で子会社の形にする必要があるのか、駐在員では足
りないのか、地元会社への業務委託では足りないのか、見直してみる必要があるかもし
れません。
                                   以上

 
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