JRRCマガジンバックナンバー

JRRCマガジン第70号(米国プロ責法の改正動向)

2016年11月24日掲載

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   JRRCマガジン No.70 

山本隆司弁護士の著作権談義
第46回「米国プロ責法の改正動向」

                                 2016/8/26配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

お盆も過ぎ、電車の中では日焼けした方などを目にするようになりました。
この夏は参議院選挙に始まり、オリンピックまで様々なイベントがありましが、
皆さまはいかが過ごされましたか?

それでは、
山本隆司弁護士の著作権談義
第46回「米国プロ責法の改正動向」
をお送りいたします。


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山本隆司弁護士の著作権談義 
第46回 「米国プロ責法の改正動向」
                               
 米国では、プロバイダー責任制限法の改正作業が始められています。昨年、米国の著
作権局は、連邦議会から、その問題点を整理して、報告書を連邦議会に提出するよう要
請を受けました。すでに質問事項を公表し、これに対するパブコメを募集しました。また、
ニューヨークとサンフランシスコで公聴会を開催しました。このあとは、意見をとりまとめ、
改正法案の提案とともに、報告書を連邦議会に提出します。連邦議会は、これを元に議
論を始め、法改正手続に入ります。
 米国のプロバイダー責任制限法は、著作権法512条が規定してます。インターネットサー
ビス・プロバイダーは、責任制限を受ける条件として、いわゆる「ノーティス・テイクダウン
」手続を取ることが必要とされています。
 「ノーティス・テイクダウン」手続は、侵害コンテンツの存在を知ったときまたは権利者か
ら所定の事項を記載した通知を受けたときに、ただちに問題のコンテンツを削除すること
を取ることが必要です。侵害の通知を受けると、プロバイダーが侵害の有無を判断するこ
となく、削除することが義務づけられています。しかし、そのように削除することによって、
コンテンツをアップしたユーザーに対する責任も免除され、著作権者に対する責任も免除
されます。
 他方、日本ではプロバイダーは、侵害の通知を受けると、侵害の有無を判断して、削除
するかどうかを判断することが必要です。プロバイダーは、侵害判断が困難(通常、通知
程度の情報では困難です)なので、削除しません。そうすると、権利者が救済(削除)を受
けるには、問題のコンテンツをアップしたユーザーに対して差止訴訟を提起する必要があ
りますが、ユーザーの身元を特定するためにプロバイダーに対して発信者情報開示を求
める必要があります。プロバイダーは、侵害が明白でないかぎり発信者情報を開示しなく
ても、著作権侵害に対して責任を負わないので、開示しません。そのため、権利者は、プ
ロバイダーに対して発信者情報開示を求める訴訟を提する必要があります。したがって
、著作権者は、JASRACのような認定権利者団体でなければ、通常、裁判手続を取らな
い限り、削除を求めることは困難です。
 以上のとおり、日本法に比べると、米国法では、著作権者はずっと迅速な救済が受けら
れます。しかし、それでもいろいろな問題点が指摘されて、改正を求められているのです
。その中でも、法技術的な問題点の他に、ノーティス→テイクダウンだけでも、不十分だと
いう指摘があります。
 というのは、「ノーティス・テイクダウン」手続によってネット上での無断アップロードを実
効的に阻止するには、ネット上にサーチエンジンを走らせて常時監視する体制を立てるこ
とが必要です。それができるのは事実上JASRACのような大規模な権利者に限られます
。中小の権利者が「ノーティス・テイクダウン」手続で救済を受けられるのは、たまたま見
つけた侵害物に限られます。しかし、侵害者は繰り返し繰り返しアップすることによって、
事実上「ノーティス・テイクダウン」手続による削除を回避することができてしまいます。
 そこで、「ノーティス・ステイダウン」手続が提案されています。これは、プロバイダーが侵
害通知を受けたコンテンツについては、プロバイダーがその再アップを阻止する義務を負
うこととするものです。これには反対意見もあり、採用されることとなるのか、今後の立法
動向が注目されます。

以上

 
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