JRRCマガジンバックナンバー

JRRCマガジン第72号(タイトルの保護)

2016年12月15日掲載

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   JRRCマガジン No.72 半田正夫の著作権の泉
                          第39回「タイトルの保護」
                                2016/9/15配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

長月に入り、台風の影響もあって、気温が下がりました。
つい先日まで、暑い暑いと冷たいモノばかり欲していたはずが、
秋めいた、しっとりとした気分になりつつある今日この頃です。
今日は「十五夜」、天気が気になるところですが、
美しい『中秋の名月』を楽しめたら良いですね。

それでは、
「半田正夫の著作権の泉 第39回」をお送りいたします。
今回は、「タイトルの保護」です。

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半田正夫の著作権の泉 第39回 「タイトルの保護」
                       
 本を書く場合に一番苦労をするのはタイトルをどうするかについてである。内容を的確
に表すものであることが重要だが、できるだけ多くの読者に読んでもらえるようにするに
は人目につくような奇抜さもまた必要となってくる。そしてまた作品の題名は時代を象徴
する言葉として独り歩きをする場合もある。たとえば、太宰治の「斜陽」から斜陽族、三
島由紀夫の「美徳のよろめき」からよろめき夫人、石原慎太郎の「太陽の季節」から太
陽族、石川達三の「48歳の抵抗」から抵抗族、という流行語が生まれ、渡辺純一の「失
楽園」から失楽園という言葉がその年の流行語大賞を受賞するなど、ユニークなタイトル
はそれ自体ひとつの存在意義をもっていて、作者の精神的創作物といえる。だが、一般
に短いものが多く、作品本体と結合することによって作品との同一性を表象する役割を
になうものにすぎず、作品本体とは切り離された別個独立の著作物と認めるわけにはい
かないとして、タイトルについて著作物性が否定されるのが一般である。
 とはいえ、タイトルが他人によって代えられては作品の同一性が失われ、利用者が混
乱することは必至である。そこで法は、著作者にタイトルについて同一性保持権を保障
し、これの無断改変に対して著作者は異議を申し立てることを認めている(著作20条1項)。
戦前の事件であるが、タイトルの変更について同一性保持権の侵害を認めた判例が1
つあるので紹介しよう。
 伝記作家として近代ドイツの第一人者と称されたAは1929年に「ユリ・フィールツェーン
(Juli  '14)と題する本を作製し、ベルリンで出版したが、これがベストセラーとなって50万
部以上の発行をみ、20か国語以上に翻訳されるほどの人気を博するにいたった。この
人気に目をつけた日本の某出版社は、作者に無断で日本語に翻訳し「1914年7月」と題
て出版したが、翌年にはこれを「誰が世界大戦を製造したか」と改題して出版した。この
ことを知った作者は無断翻訳であることを理由に発行の差止めと損害賠償を請求し、あ
わせて刺激的な題名に変更して出版したことは作者の人格的利益を侵害したものとして
慰謝料の請求をしたという事件である。この事件は旧著作権法時代のものであったが、
旧法においても前記20条1項と同趣旨の規定が置かれており、判決は作者の主張を全
面的に認め、慰謝料の請求を肯定している。
 ところで、タイトルが著作権で保護されないとなると、他人によって他の作品に同一の
タイトルが付けられる可能性があり、作品の同一性の識別が困難になることが予想され
る。そこで、商標権で保護されないかが問題となってこよう。理論的にいうと、タイトルも
商標登録の要件を充たすものとして保護の対象とすることは可能であるが、実際には保
護が否定されているのが実態である。なぜなら、商標権は設定登録の日から10年存続
するが、更新が認められており(商標19条)、この更新を繰り返すことによって、著作者
の死後50年で消滅する著作権よりも長く存続することが可能であるため、もしもタイトル
について商標登録が認められるならば、著作権の消滅後であっても、著作物を利用する
際にはタイトルの商標権者から使用の許諾を受けなければならないことになって、著作
権の保護期間設定の意味が失われるからである。やむを得ない措置といえるのではな
かろうか。
 

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