JRRCマガジンバックナンバー

JRRCマガジン第77号(リンクによる公衆伝達権侵害)

2017年01月25日掲載

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   JRRCマガジン No.77 

山本隆司弁護士の著作権談義
第48回「リンクによる公衆伝達権侵害」

                                   2016/10/26配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

先日 1か月ほど前より気になっていた自宅近くの柿の木の実が、熟れて地面にとうとう
落下しているのを見つけた。
その柿の木の下を通るたびに、頭スレスレに生っている実がコツンと落ちてくるのでは・・・
とドキドキしていたが、その出来事は免れることとなった。
ちょっぴり期待も含めて、その柿の実の行く末に注目していた昨今ですが、
皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

それでは、
山本隆司弁護士の著作権談義
第48回「リンクによる公衆伝達権侵害」
をお送りいたします。


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山本隆司弁護士の著作権談義 
第48回 「リンクによる公衆伝達権侵害」
                               
 2016年9月8日、欧州司法裁判所(Court of Justice of the European Union)が、これま
での判決よりもかなり踏み込んで、違法サイトへのリンクは公衆伝達権を侵害する、との
判決(GS v Sonoma)を下しました。この判決の位置づけについてご
紹介したいと思います。
  そもそも、日本法から見ると、違法サイトへのリンクは、公衆送信権侵害の幇助が成立
しても、公衆送信権侵害の直接侵害は成立し得ないに思えます。1996年に締結されたWI
PO著作権条約は、その8条に「公衆伝達権」を著作権の支分権として加盟各国にその保
護を義務づけました。この規定を受けて、日本は、著作権法23条1項に公衆送信権(送
信可能化権を含む)を定め、EUは、情報社会指令3条1項に公衆伝達権を定めました。
WIPO著作権条約8条の実施の仕方に日欧で大きな違いがあることに注意することが、ま
ず、必要です。
  すなわち、WIPO著作権条約8条が規定する「making available to the public of their
works」する権利を、日本法では、著作物を送信サーバーにアップロードする行為に対す
る権利(送信可能化権)と構成し直しました。したがって、自ら著作物を送信しないリンク
行為者は、公衆送信権の主体にはなり得ません。
  しかし、情報社会指令3条1項の「公衆伝達権」は、WIPO著作権条約8条の「making
 available to the public of their works」という文言をそのまま権利化しています。そのた
め、「making available to the public of their works」する権利は、違法サイトへのリンクで
あってもそれによって公衆の著作物を利用可能にすれば、当該リンクにまで及ぶ権利と
解釈することが可能なのです。
  しかし、そうすると、単なる幇助行為も、「making available to the public of their works」
する権利の直接侵害と解することも可能になります。そこで、リンク行為が「making
available to the public of their works」に該当する場合を制限的に解釈する判例が積み
重ねられていました。有名な2014年のSvensson判決(C-466/12)は、リンク元の違法サ
イトが送信しているユーザーではない、「新たなユーザー」(new public)にリンクによって
著作物を利用可能にした場合に、リンク行為に公衆伝達権の侵害を認めました。
  今回の事件は、プレイボーイ誌掲載のヌード写真について、これを公衆に送信する違
法サイトに被告がリンクを張って、公衆に利用可能にしました。被告は、当該違法サイト
が削除されると、別のサイトにリンクを張って(当該サイト利用の技術的制限を解除した
上で)公衆に利用可能にしました。そこで、写真の権利を持つ原告がオランダの裁判所
に被告を提訴し、オランダの最高裁判所から欧州司法裁判所に「公衆伝達権」の解釈に
ついて判断を求めたのが、本件です。欧州司法裁判所は、つぎのような枠組みを提示し
ました。
  第1に、リンク先が権利者から許諾を得ている適法配信である場合には、リンク行為は、
「新たなユーザー」へのリンクであるときにのみ、公衆伝達権の侵害となる。
  第2に、リンク先が権利者から許諾を得ていない違法配信である場合には、リンク行為
は、行為者がリンク先の違法性について故意または過失がある限り、「新たなユーザー」
へのリンクか否かを問わず、公衆伝達権の侵害となる。
  第3に、第2の場合において、リンク行為者が営利目的あるときは、リンク先の違法性に
ついて故意または過失が推定される。
 その上で、判決は、被告の行為には公衆伝達権の侵害が成立すると判示しました。

 以上

 
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