JRRCマガジンバックナンバー

JRRCマガジン第89号(著作権判例百選事件)

2017年06月19日掲載

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   JRRCマガジン No.89 

山本隆司弁護士の著作権談義
第51回「著作権判例百選事件」

                                   2017/1/25配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

いよいよ待ちわびていた日本人横綱の誕生です。
以前活躍していた外国出身の横綱、その圧倒的な強さに感服するとともに、
堆く盛られた懸賞金を自信満々に手にする姿は余裕すら感じられました。
実に19年振りとなる日本出身の横綱。
一相撲ファンとしては、今後の取り組みがますます楽しみとなった今日この頃です。


それでは、
山本隆司弁護士の著作権談義
第51回「著作権判例百選事件」
をお送りいたします。


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山本隆司弁護士の著作権談義 
第51回 「著作権判例百選事件」
                               
 著作権判例百選の第5版が、昨年12月にやっと発刊されました。2015年に発刊される
予定でしたが、第4版の「編者」の一人から、2015年10月に出版差止めの仮処分命令が
申し立てられ、東京地裁が仮処分を認めたために、発刊が遅れていました。先日(2016
年11月11日)、知財高裁が、仮処分申立を却下する決定を下したので、発刊にこぎ着
けたものです。この決定を読むと、登場人物それぞれの顔を思い起こさせるので、生々
しすぎて、扱いが難しいのですが、編集著作物性について特徴的な判断を下しています
ので、あえてご紹介したいと思います。
 第4版の共同「編」者(A、B、C、X)として表示されているXは、その第5版が第4版の翻
案であり、Xに無断で第5版を出版することは、第4版に対してXが共有する著作権を侵
害すると主張して、出版者Yを相手にその差止めの仮処分命令を求めました。東京地
裁は、Xが第4版の共同編集者であり、これに対する著作権を共有することおよび第5版
が第4版の翻案であることを認めて、第5版の出版差止めを認める仮処分命令を下しま
した(平成27年10月26日決定)。Yは、東京地裁に対して保全異議を申し立てましたが
、これも退けたので、知財高裁に保全抗告を申し立てました。
 知財高裁は、地裁の判断と異なり、Xが第4版の共同編集者でないと認定し、仮処分
命令を取り消し、Xの仮処分の申立を却下する決定を下しました。
 知財高裁の認定した事実によれば、第4版は、AがBとUに指示して、Aの指揮下でUが
原案を作成し、CおよびXの助言を得て完成させました。Xを共同「編」者に入れることに
は、Yが反対しましたが、Aは、Xの面目を保つために参加させることとしつつ、Xに原案
作成に口出ししないよう釘を刺したという経緯があります。結局、第4版に対するXの積
極的な関与は、①執筆者について1名の削除および3名の追加を主張し、②まねきTV
事件に代えてロクラクII事件への差し替えへの賛意、③章のタイトルに「等」を付加する
ことを助言したにとどまります。
 地裁は、裁判例113件の選択・配列の決定にXが参画していたとの事実をもって、Xが
編集著作物である第4版の共同著作者であることを認めました。これに対して、知財高
裁は、「編集に関するそれ以外の行為として、編集方針や素材の選択、配列について
相談を受け、意見を述べることや、他人の行った編集方針の決定、素材の選択、配列
を消極的に容認することは、いずれも直接創作に携わる行為とはいい難いことから、こ
れらの行為をしたにとどまる者は当該編集著作物の著作者とはなり得ないというべきで
ある」と判示し、裁判例113件の選択・配列の決定にXが参画していたとの事実だけでは
Xの著作者性を認めることはできないとしました。
 さらに、編集行為への関与について、「当該行為者の当該著作物作成過程における
地位、権限、当該行為のされた時期、状況等に鑑みて理解、把握される当該行為の当
該著作物作成過程における意味ないし位置付けをも考慮して判断されるべきである」と
判示しました。そして、Xの積極的関与である上記3点について、編集者のそれではなく、
「実質的にはむしろアイデアの提供や助言を期待されるにとどまるいわばアドバイザー
の地位に置かれ、相手方自身もこれに沿った関与を行ったにとどまる」と判示して、Xを
著作者とは認めませんでした。
 以上の論理展開に問題はないように思います。また、紛争解決としても妥当だと思い
ます。
 ただ、知財高裁の判決は、Xの積極的関与について「斬新な提案というべきほど創作
性の高いものとはいい難く、・・・創作性を認め得るとしても、その程度は必ずしも高いも
のとは思われない」と認定して、Xの著作者性を否定しています。創作性の程度が高け
れば、Xの著作者性が認められるかのような判示には疑問が生じます。おそらく、仮に
Xの積極的関与が「斬新な提案」であれば、Uの作成した原案の性格を変えてしまって、
Xを単なるアドバイザーとは言えない状況になり得る、との趣旨と理解していいのでしょ
う。

以上

 
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